斜陽歌词

添加日期:2023-08-29 时长:02分37秒 歌手:田中理恵

斜陽
太宰治
朝、食堂でスウプをひとさじ
すっと吸ってお母さんまま
「あ」
と幽かな叫び声をお挙げになった
「髪の毛?」
スウプに何か、イヤなものでも入っていたのかしら、
と思った。
「いいえ」
お母さんまは、何事も無かったように、
またひらりと一そじ、
スウプをお口に流し込み、
すましてお顔を横に向け、
お勝手の窓の、満開の山桜に視線を送り、
そうしてお顔を横に向けたまま、
またひらりと一そじ、
スウプを小さなお唇のあいだに滑り込ませた。
ヒラリ、という形容は、
お母さんまの場合、決して誇張では無い。
婦人雑誌などに出ているお食事のいただき方などとは、
てんでまるで、違っていらっしゃる。
スウプのいただきかたにしても、
私たちなら、お皿の上にすこしうつむき、
そうしてスプウンを横に持ってスウプを掬い、
スプウンを横にしたまま口元に運んでいただくのだけれども、
お母さんまは左手のお指を軽くテーブルの縁にかけて、
上体をかがめる事も無く、
お顔をしゃんと挙げて、
お皿をろくに見もせずスプウンを横にしてさっと掬って、
それから、燕のように、
とでも形容したいくらいに軽く鮮やかにスプウンをお口と直角になるように持ち運んで、
スプウンの尖端から、
スウプをお唇のあいだに流し込むのである。
そうして、無心そうにあちこち傍見などなさりながら、
ひらりひらりと、
まるで小さな翼のようにスプウンをあつかい、
スウプをいできもおこぼしになる事も無いし、
吸う音もお皿の音も、
ちっともお立てにならぬのだ。
それは所謂正式礼法にかなったいただき方では無いかも知れないけれども
私の目には、とても可愛らしく、
それこそほんものみたいに見える。编辑于2023/08/29更新
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